もの忘れと睡眠時無呼吸症候群
比較的若い方で,当院の❝もの忘れ外来❞を受診されるケースが見られます.症状としては記憶力や集中力が低下しており,通常の脳MRI検査では問題を認めないことも多いのです.
そのような方の中で,❝不眠❞がもの忘れや集中力の低下の原因と思われる例が増えている印象です.
よくよく話をお聞きすると,「日中に眠くなる」「仕事に集中できない」「物覚えが悪くなった」などの訴えが強く,寝ている時にいびきをかいていることが多くて,よく無呼吸を起こしていると家人に言われるらしいのです.
睡眠時無呼吸症候群とは・・・
1) 日常生活
日中の眠気のため通常の日常生活がやりづらくなり,物事に集中することができなくなります.
仕事中に居眠りをしたり,業務にも支障をきたすことがあります.
特に自動車の運転は危険です.睡眠時無呼吸症候群では運転中に眠くなってしまい,事故を引き起こす危険性が高くなります.
2) 合併症状
睡眠時無呼吸症候群の患者さんは心筋梗塞や脳卒中を発症する確率が高くなると言われています.
また糖尿病を悪化させたり,高血圧や不整脈の原因にもなりえます.
睡眠時無呼吸症候群の診断
睡眠時無呼吸症候群は,睡眠中の無呼吸や低呼吸によって体内が低酸素に陥っていることを証明することで診断されます.その上で重症度やタイプ(中枢型、閉塞型、混合型)を診断することが必要で,それぞれに応じた治療を行うのです.
通常、確定診断のための検査は2段階で行います.
まず簡易検査を行って陽性となれば,次の検査に進みます.原因が必ずしも睡眠時無呼吸と関連していない場合もあるので,詳細な検査が必要です.
1) 簡易検査
指先に体内の酸素飽和度を測定する機器を装着して一晩寝ていただきます.この際は入院の必要はなく,自宅で検査が可能です.また操作も簡便です(検査後検査メーカーに郵送していただくだけ).
(携帯用睡眠時無呼吸検査装置:TEIJIN)
結果は2週間程度で判ります(費用は保険診療でおおむね¥3,000~¥5,000).
2) ポリソムノグラフィー(PSG)
上記の簡易検査で陽性と判定された方がこの検査を行います.
指先の機器だけではなく,心電図や脳波,鼻や口の気流測定,各種センサーを装着した上で一晩寝ていただきます.
こちらの検査は1泊2日の入院での検査が必要となりますが,重症度やタイプなどが詳細にわかるため診断確定にはこの検査が必要となります.
当院では簡易検査を受け付けております.
詳しくは当院スタッフへお尋ねください.